ほとんどの総合病院やクリニックでは、経鼻内視鏡を含む通常内視鏡検査→生検病理検査→(がんあるいはそれを疑う生検病理結果が得られれば精密検査)といった形で、精密検査は生検病理結果が出たあとでようやく行われます。
ところが、生検病理診断は大きな病変から米粒のような粘膜組織を採取して行いますので、情報が限られています。熟練した病理医でもしばしば診断の難しいケースがあります。つまり、「がん病巣から組織を採取して検査しても必ずがんの結果が出るとは限らない」のです。一目見てそれと分るようながんもあれば、とても診断の難しいものもあります。
生検病理検査でがんの診断結果が出なくてもさらに詳しく調べていくべきかどうかの判断は、初回の内視鏡検査でどれだけ詳細に病変を観察したか否か、にかかっています。初回の内視鏡検査こそ全力で取り組むべきなのです。決して手を抜いてはなりません。敵(がん)はとてもてごわい病気です。