健康診断で便潜血陽性の結果が出たときは…
「確率は低いが、大腸がんの可能性はある。大腸内視鏡検査を受けておいた方が無難」です。
便潜血反応検査

便潜血反応検査は便に混入した(肉眼ではわからない程度の)微量の血液を検出することのできる検査です。
便潜血陽性というのは、「便の通り道のどこかに出血するような病気がありますよ」ということです。この検査の目的はズバリ大腸がんの早期発見にあります。
大腸がんは胃がんと同様に早期発見・早期治療をすることでほぼ100%治る病気ですが、これも胃がんと同様に早期の段階ではほとんど症状がありません。そこで大腸がんからの微量な出血を便から検出して早期発見につなげようというわけです。ところが早期大腸がんはいつも出血を続けている訳ではありません。このため1回の便ではなく連続2日間の便で判定します。それなら3日間以上の便を調べたらもっとわかるのではないか・・・と誰でも考えますが、大腸がん検出の能力を調べたところ2日法と3日法であまり変わらなかった(本当は3日法の方がわずかに上)ので受診者の利便性を考慮して2日法が一般的な大腸がん検診の方法として定着したわけです。
便潜血陽性=大腸がん?
では便の通り道に出血があったら必ずがんか?というと、もちろんそうではありません。便潜血陽性と言われた人のうち、大腸がんは大体3%くらいです。これを聞いた方の反応はさまざまです。「何や、たった3%か。97%は大腸がんやないっちゅうことやな」、とポジティブに考える方もおられれば、「3%もあるんか、やばいやん」と感じる慎重な方もおられます。感じ方はひとそれぞれですね。
便潜血陽性の原因とは

便潜血陽性の最も頻度の高い原因は痔のような、肛門周囲からの出血です。痛みを伴わない痔はいくらでもあります。でも痔からの出血とは限りませんので全大腸内視鏡検査で大腸がんが無いことを確認しておいた方が無難です。
いつ出血してもおかしくない痔を患っている方からこんな相談を受けることがあります。「毎年の便検査で必ず便潜血陽性でひっかかるんやけど、毎年大腸内視鏡検査を受けた方がええんやろか?」・・・難しい質問ですが、当院では次のようにお話しています。「まず1回は大腸内視鏡検査を受けて、大腸がんの無いことを確認しておきましょう。次からは便検査は受けずに何年かに1回(初回の大腸内視鏡検査の結果によって検査間隔は変わる)の内視鏡検査を受けてはいかがでしょうか。」