胃カメラ検査が大切な理由
医療法人社団沖医院は、京都市伏見区桃山町で昭和43年に父が開業して以来、「楽に 正確に 迅速に」をモットーに地域の皆様の健康をお守りしてまいりました。このブログでは、私が日々の診療で感じたことや、健康に関する知識、当院からのお知らせなどを発信していきたいと思います。胃カメラ検査は、消化器系の病気を早期発見・早期治療するために欠かせない検査です。今回のブログでは、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)の重要性についてくわしく解説します。この検査は、消化器系の病気を早期に発見し、適切な治療をおこなうために欠かせない検査の一つです。このブログを通して、胃カメラ検査について理解を深めていただければ幸いです。
胃カメラ(胃内視鏡検査)とは
胃カメラ検査は、正式には胃内視鏡検査や上部消化管内視鏡検査と呼ばれる検査方法です。この検査では、細い管状のカメラ(内視鏡)を口や鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察します。また、必要に応じて病変部位の組織を採取し、より詳細な検査をおこなうことも可能です。病気の多くは粘膜から発生しますので粘膜を間近で詳細に観察できる胃カメラは食道がん・胃がん・十二指腸がんの早期発見にとても有利です。粘膜のわずかな凹凸や色調の変化、粘膜模様のわずかな変化は腹部CTや胃バリウム検査では検出できません。CTやバリウム検査でかなり被ばくすることはあまり知らされていませんが、重要な問題です。バリウム検査が優れている点は、食道・胃・十二指腸の全体像を捉えることができることです。胃がんと胃の入り口や出口との位置関係は胃カメラよりもはるかに有用な情報を与えてくれます。食道が炎症やがんのために狭くなってカメラが通れない状態であっても、バリウム検査では狭くなったところの向こう側の情報を知ることができます。胃カメラは粘膜のわずかな変化を捉えることで病気の早期発見に役立ち、バリウム検査は全体像を捉えるのに役立つ。それぞれに守備範囲が異なり、長所と短所があるわけです。たとえて言えば、町中を自転車でくまなく走ることで小さな変化を見つけることができるのは胃カメラの利点、航空写真で町全体の姿を大まかに捉えることができるのはバリウムの利点です。
同じ胃カメラでも鼻から挿入する経鼻内視鏡検査と口から挿入する経口内視鏡検査では相当違います。よく経鼻でも経口でも胃がんを診断する能力は同じではないか?と聴かれますが、経鼻内視鏡は鼻腔を通る位の細いスコープを用いますのでスペック(機能)に制限があり、情報量が減ってしまいます。経鼻内視鏡と経口内視鏡で最も大きな差が出るのは、「病気があったとき」です。当院は経鼻内視鏡も経口内視鏡も備えていますが、経鼻内視鏡はお勧めしていません。「病気があったとき」のことを考えて検査しないと悪い病気を見落としてしまうのです(これは車の運転や地震・火事の対策と同じです)。当院はいつも全力投球です。常に最善を尽くします。
病気の早期発見のために、お心当たりの方は胃カメラ検査を受けましょう
・突然の吐血や下血があった
・吐き気、むかつき、胃部不快感などの症状が継続している
・健康診断で精密検査が必要と言われた
・過去に経過観察が必要と言われたにも関わらず、放置している
・家族に胃がんが見つかった
・ピロリ菌がいると言われたことがある
・タバコやアルコールの常習者だ
・初めて飲酒したときに顔が真っ赤になった
特に40歳以上の方や、過去に胃や食道に関する指摘を受けたことがある方、気になる症状が続いている方は、お早めに検査を受けていただくことが大切です。
実際のところ、定期的に検査を受けなければならない方もそうでない方もおられます。なにかしらの症状があるということと深刻な病気があるというのは別々に考えた方がよいと思います。すなわち無症状でも深刻な病気が隠れている場合もあれば、イヤな症状に長い間悩まされていても意外と大した事の無い病気かもしれません。
検査を受けることで「もしかしたら深刻な病気があるのかもしれないというモヤモヤ感」がすっきりすることはよくあるものです。
胃カメラ検査で分かる主な病気
胃潰瘍
ストレスや特定の薬の影響により、胃酸の分泌が増加したり、胃粘膜を保護する物質の分泌が低下したりすることで発生します。胃カメラ検査では、胃潰瘍や胃がんの原因の一つであるピロリ菌の有無も確認できます。
ポリープ
胃の粘膜の一部がイボ状に隆起したものです。多くの場合治療不要です。
胃がん
胃の悪性腫瘍です。早期の段階では自覚症状がほとんどありません。進行すると開腹手術や抗がん剤治療が必要になる場合もあります。大きな治療が必要になる前に早期発見することが大切です。
腫瘍って何?
よく訊かれます。腫瘍はほっとくと際限なく増えてゆく病気です。私たちの体は生まれてくる細胞と死んでゆく細胞がうまく調節されていて、数が保たれています。そこに「増えるけどなかなか死なない」異常な細胞ができてくることがあり、それが腫瘍です。良性腫瘍とか悪性腫瘍とかよく耳にされると思います。良性腫瘍は発育がゆっくりで、他の臓器に浸みていったり(浸潤)、他の臓器にとびひ(転移)したりしないものです。悪性腫瘍は発育が早く、他の臓器を侵したり肝臓やリンパ節に転移したりすることがあります。良性腫瘍の中には時間経過の中で悪性腫瘍に変化するものがあります。つまり良性腫瘍には治療を要しないものがあり、悪性腫瘍は治療を要することが多いです。
食道の病気
逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流することで炎症が起こる病気です。長期間放置すると、食道がんのリスクが高まることがあります。
食道がん
飲酒、喫煙、食道炎などが原因で発生します。早期発見できれば内視鏡手術で治療可能ですが、進行すると他の臓器への転移の可能性もあります。
十二指腸の病気
十二指腸腺腫
良性の腫瘍ですが、十二指腸がんへと変化するリスクがあります。早期であれば内視鏡で切除できる場合もあります。
十二指腸がん
内視鏡手術が難しい部位に発生することが多いがんです。早期発見なら内視鏡検査が有効ですが、進行すると外科手術が必要になります。
胃カメラ検査は、消化器系の病気の早期発見と早期治療に非常に重要
今回のブログでは、胃カメラ検査が大切であることについてご紹介しました。症状がある方や検査が必要と言われた方は、速やかに検査を受けていただくことを強くおすすめします。消化器系でわかる病気は早期発見・早期治療が大切な病気がたくさんあります。沖医院では、京都市伏見区で、患者様のご負担を最小限に抑えた胃カメラ検査をおこなっております。お腹の痛みや不調など、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。当院で丁寧に診察ししっかりとサポートさせていただきます。